高齢者薬物療法適正化チームの活動について

溝神 文博
国立長寿医療研究センター薬剤部

国立長寿医療研究センターでは、2016年9月にポリファーマシー対策チームである「高齢者薬物療法適正化チーム」を立ち上げた。その背景にはポリファーマシー問題が多岐にわたり一律のアプローチが難しいことがあげられる。参加職種は、医師(老年内科、循環器内科)、薬剤師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士である。医師も複数診療科による処方提案が特徴的であり、処方を検討する際に詳細な薬歴など薬に関する情報を収集し、患者の生活状況の把握、服用状況の把握、薬物有害事象が疑われるような症状、非薬物療法の介入の必要性、栄養状態、嚥下機能、患者・家族の治療に対する思いといった総合的な情報を収集し、多職種で処方を見直すことが重要であると考える。チームの活動の流れは、薬物有害事象・服薬アドヒアランス低下といった問題のあるポリファーマシー患者を中心に選定し、高齢者総合機能評価を中心とした情報を元に多職種によるカンファランスを行っている。提案内容は、削減候補薬の選定だけでなく、過小医療に対する処方提案や非薬物療法など生活指導及び栄養指導、患者家族に対する服薬支援も合わせて行っている。退院時の情報提供として、チームでの診療情報提供書の作成退院時の薬物療法サマリーの作成を行いお薬手帳に貼付するなど情報が途切れないよう心がけている。チームでカンファランスを行い、主治医に処方提案した症例を3剤以上削減群と3剤未満削減群(2剤、1剤削減・増加を含む)に分けて介入時、7日後、30日後、60日後の薬物有害事象の発現頻度を比較した結果、介入時53.1% vs. 34.6%、7日後9.4% vs. 30.8%(p=0.039)、30日後3.1% vs. 19.2%(p=0.045)、60日後6.3% vs. 26.9%(p=0.031)と有意な差があった。チームによるアプローチは処方の適正化に繋がり薬物有害事象の減少をもたらす可能性がある。また、チームでの処方提案は、医師・薬剤師が単独で行うより、意見を聞き入れやすく処方医とのコミュニケーションが容易になると考える。

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