事例集

症例3尿路感染症で入院となり、ポリファーマシーの是正を必要とした85歳女性

Scene2

 入院後、尿路感染症に対し補液と抗菌薬治療を開始したところ、夜間にせん妄を起こし、大声を出したり点滴を自己抜去したりするなどの行動が認められた。初期治療には難渋したが、補液と抗菌薬の点滴治療により病状(発熱、腰部痛)は徐々に改善を認め、炎症所見は低下し腎機能低下も改善を認めた(BUN 8.6mg/dl, Cre 0.65mg/dl)。第3病日には経口摂取を再開でき、センノシドの使用により排便も認められた。日中は看護師や面会に来た息子と会話もしっかりとできるようになり、トイレ歩行も開始したが、担当看護師から歩行が緩徐でかつ左右によろける不安定な歩行と共にもの忘れがあるとの報告があった。さらに服薬指導を行った病棟薬剤師より、服薬管理はほとんど患者本人が行っているが、自宅に残薬が多数あり、インスリン注射も前医退院後より打たれていないこともあったと報告された。息子も患者の薬の内容を把握しておらず、また薬を指示された通りに飲んでいなかったことに気がついていなかった。日常生活活動(ADL)が入院前にほぼ戻った退院間際の第14病日に行った改訂長谷川式認知症スケールは25点(30点満点)であり、特に短期記憶障害と見当識障害での減点が目立った。退院後の療養生活の安定に向けて、介護サービスの開始と処方薬の変更を行うこととした。

Scene2 Questions

  • 1) A氏が服薬管理を十分にできない理由として考えられるものは何か。
  • 2) A氏の処方薬の中で薬物相互作用のある薬剤はないか。
  • 3) A氏の処方薬の中で積極的に減量あるいは減薬を考慮すべき薬剤はなにか。