老年科医の魅力
医学の進歩により日本は世界トップクラスの長寿国となりました。最先端の医学を学ぶことはこれからの医学生・若手医師にとって欠かせません。しかしその一方で、複数の慢性疾患・合併症を抱える高齢者の増加は、専門分野による医療に新たな課題を突きつけています。
最先端の医学の知識を学ぶことはもちろん重要です。しかし、臨床現場、こと高齢者医療に向き合う際、一つの疾患や症状だけに注目してしまうと、患者さんの「全体像」を見失いがちです。
老年医学の本質は、単に病気を治療することだけではありません。患者さんが抱える複数の疾患、生活習慣、家族や社会環境、心理面まで含めた全体像を理解し、その方にとって最善の医療、特に生活に密着した医療を提供すること、すなわち「医療の総合力」を養うことにあります。それには専門的な知識の修得と同時に、患者の全体像を俯瞰し、優れた洞察力を養うことが必要です。その意味で、老年医学は科学(Science)と技(Art)の両方によって支えられています。最新の知見に基づいた正確な診断と治療を提供することが科学(Science)だとすれば、高齢者に寄り添い、広い視野と柔軟な判断力で、プラクティカルかつ最善の医療を提供することは技(Art)と言うことができます。
これから進む専門分野を考える時、ぜひ老年科を選択肢の一つに加えてください。将来どの診療科に進もうとも、高齢患者を診る機会は数多くあります。その時、老年科の研修で培うScienceとArtは、あなたを医療人として、より深く、より豊かなものにしてくれるはずです。
日本老年医学会理事長 神﨑 恒一
※ 引き続き是非、「老年科専門医とは」もご覧ください。
※ 老年医学を学ぶことのできる教室の教授からのメッセージや、老年科医・老年医学のスペシャリストとして活躍している先輩方からのメッセージを、本ページに順次掲載予定です。


