先輩方からのメッセージ
専門医だからこそ、老年医学を学ぶ価値がある

北代 亮太郎 (きただい りょうたろう)
高知医療センター 循環器内科
私は高知県四万十市出身で、高知大学医学部を卒業後、高知大学医学部老年病・循環器内科学に入局しました。現在は高知医療センター循環器内科に勤務し、不整脈診療を中心に循環器疾患全般の診療に携わっています。医師10年目で、2児の父でもあります。
初期研修修了後は循環器内科医として研鑽を積んできましたが、医師7年目に赴任先の上司から老年医学の重要性を教わったことが、日本老年医学会に入会するきっかけとなりました。その後、老年医学を体系的に学ぶ中で、高齢者診療の奥深さと重要性を改めて実感するようになりました。
近年、医療技術は著しく進歩しています。循環器領域では、TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)をはじめとする低侵襲治療の発展により、高齢者に対しても多くの治療選択肢が提供できるようになりました。ペースメーカ治療においても、リードレスペースメーカや刺激伝導系ペーシングなど新しい技術が登場し、患者さん一人ひとりに応じた最適な治療を選択できる時代になっています。
一方で、治療の選択肢が増えたからこそ、「治療できる」と「治療すべき」は必ずしも同じではないことを日々実感しています。高齢者は年齢だけで一括りにできる集団ではありません。身体機能や認知機能、併存疾患、社会的背景、そして何より本人の価値観は一人ひとり異なります。そのため、疾患だけを診るのではなく、その人らしい生活や人生全体を見据えた意思決定が求められます。
私自身、循環器内科医として専門性を追求する一方で、老年医学を学んだことで以前よりは患者さんをより多面的に捉えられるようになったと感じています。専門医として最善の治療を考えるからこそ、その治療が患者さんにとって本当に望ましいものかを考える視点が重要になります。その視点を与えてくれるのが老年医学の大きな魅力です。
これから老年医学に携わろうと考えている先生方には、老年医学は決して老年科医だけのための学問ではないことをお伝えしたいと思います。循環器、消化器、呼吸器、整形外科など、どの専門領域であっても高齢者診療は避けて通れません。だからこそ、専門性を持つ医師こそ老年医学を学ぶ価値があります。高齢社会が進む日本において、老年医学はすべての医師にとって重要な基盤となる学問であり、多くの先生方にその魅力を知っていただければ幸いです。
資格
- 日本内科学会内科専門医
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本老年医学会老年科専門医
- 日本循環器学会専門医
- 日本不整脈心電図学会専門医
- 日本心血管インターベンション治療学会認定医
※ 2026年9月掲載。所属は掲載当時のものです。


