事例集

症例2下血、ショック状態で緊急入院の治療経過中に点滴の自己抜去、暴力行為、夜間興奮状態などが見られた80歳男性に認知症ケアチームとして介入した事例

Scene1

 80歳の男性。退職後、家で暮らしており、息子2人が同居している。今回、下血、意識障害で救急受診となった。もともと、虚血性心疾患、慢性心不全、高血圧、高尿酸血症、便秘症、不眠症があり、かかりつけ医にて投薬をされていた(以下を参照)。
 今回入院の約半年前にも、腹痛と呼吸困難感で当院に救急搬送された。その際、胸水貯留、うっ血肝によると思われる肝酵素上昇を認め、入院後の心エコー検査でEjection Fraction:30%、重症僧帽弁逆流症を認め、ラシックス持続点滴による治療を受けていた。治療経過は良好で、機能性僧帽弁閉鎖不全症(functional mitral regurgitation:FMR)を疑いMitraClipⓇによる治療も考え心機能精査、治療方針の検討を行う予定であったが、本人の退院希望が強くなり、夜間の不穏が強かったため、かかりつけ医で利尿剤を管理することを依頼し、入院7日目に退院となっていた。この入院の際に、認知症が疑われたが、家族と相談の上、認知症に関する精査は行われなかった。

投薬内容

フロセミド錠20mg 2T
分1 朝食後
スピロノラクトン錠50mg
1T分1 朝食後
イミダプリル塩酸塩5mg
1T分1 朝食後
スボレキサント錠15mg 1T
分 1眠前
ルビプロストン24 μg 1T
分1 夕食後
センノシド錠12mg 1T
分1眠前
ピモベンダン1.25mg 2T
分2 朝夕食後
ビソプロロールフマル酸塩
0.625mg 1T 分1 朝食後
アロプリノール錠100mg 2T
分2 朝夕食後
ニトログリセリン貼付剤27mg
1日1枚

泌尿器科医院

ミラベグロン25mg 2T
分1夕食後

Scene1 Questions

  • 1) 今回入院までの経過の中で老年医学的課題は何か?
  • 2) 本症例では、11種類の治療薬が使われているが、ポリファーマシーに相当するか?
  • 3) 今回入院までに、情報収集、検討・分析、対応などしておくべきことはあったか? また、予想(できれば事前に介入)しておくべきことは何であったか?