事例集
症例10褥瘡の発生を契機に様々な老年症候群が明らかになった90歳男性に対して多職種で介入した事例
Scene2
入院後、右大転子部の褥瘡に対し、デブリードマンやポケット切開が皮膚科医により行われた。本人は右側臥位へのこだわりがあったが、ベッドの配置を配慮したり、体圧分散マットを導入したりすることで、局所への負荷を避けるなど、ケアの内容を見直し、治療経過は順調であった。
老年内科医は、薬剤師、看護師らと、ポリファーマシーに対するチーム介入を行い、薬剤の減量や服用方法の単純化を検討した。入院時に、冠動脈ステント術後6か月以上経過していることや貧血の存在を踏まえワルファリンは中止していたが、さらに全身倦怠感の要因として、降圧薬による過度の降圧の可能性や睡眠薬の影響も考慮し、降圧薬を減薬するとともに睡眠薬の一部を頓用に変更した。
褥瘡治療による炎症の軽減や、薬剤処方の適正化により日中の覚醒度が上昇した。さらに嚥下機能の低下や不顕性誤嚥を予防するため、入院中には言語聴覚士による嚥下評価や栄養サポートチームの介入も依頼し、食形態の見直しを行った。
Scene2 Questions
- 1) 今後、起こりうる問題はどんなものが考えられ、それに対する予防・支援は何か。