事例集

症例137年間にわたり多彩な症候を呈しながら高カルシウム血症、骨粗鬆症ならびに脆弱性骨折を発症した79歳女

Scene2

 介護老人保健施設Cの施設長から、現在の腎機能ではアレンドロネートならびにリセドロネートは内服禁忌であることが指摘された(アレンドロネートではCcr<35 ml/minは内服回避であり、リセドロネートではCcr<30 ml/minは禁忌となる)。代替案として骨粗鬆症治療薬としてエルデカルシトール内服開始とし、介護老人保健施設Cでの生活を開始し、施設長が診療を引き継いだ。慢性腎臓病患者へのエルデカルシトール内服は高カルシウム血症に注意が必要であることから、入所時、老人保健施設Cでの採血にてカルシウム値を測定した。その結果、補正カルシウム値14.6mg/dlと高カルシウム血症を認めたため、エルデカルシトールによる高カルシウム血症と考え、エルデカルシトール中止とし、補液、エルシトニン使用し経過観察した。徐々に血清カルシウム値は低下したが、入所1ヶ月後の採血でも補正カルシウム値11.8mg/dl(リン3.1mg/dl)と十分な補正がなされないため、PTH測定したところintact PTH 832pg/mlと高値を認めたため、原発性副甲状腺機能亢進症を疑い、B病院内分泌科に紹介受診となった。頚部CTならびにMRIにて副甲状腺腫瘍(右下葉)を認め、副甲状腺腫瘍に対し腫瘍摘出術を外科で施行した。入院中に深部静脈血栓症を発症したためワルファリンを開始した。現在も腰痛を認めている。また、本人は在宅での生活を希望している。

Scene2 Questions

  • 1) A氏の内服に関して今後気を付けるべき点は何か。
  • 2) A氏の退院後の二次骨折予防に関してどのように支援していくべきだと考えるか。