65歳以上の成人で接種を検討すべきワクチン

*ワクチンの有効性:ワクチンを接種しなかった者あるいは追加接種をしなかった者、異なるワクチンを接種した者と比較して、接種者の発病あるいは重症化、入院が相対的に何%減少したかをみる指標

65歳以上の成人で接種を検討すべきワクチン(PDF 460KB)
65歳以上の成人で接種を検討すべきワクチン-概要-(PDF 325KB)

インフルエンザ

ワクチンの種類 対象 接種方法
標準量インフルエンザHAワクチン 65歳以上 定期接種
(60歳以上で基礎疾患有する一部も定期接種)
皮下注射
  • 高齢者は年1回接種が基本
  • 年1回、標準量あるいは高用量のいずれかを接種する
高用量インフルエンザHAワクチン
(エフルエルダ筋注®)
75歳以上 定期接種
(2026年10月より)
(60歳以上75歳未満は任意接種)
筋肉内注射
  • 年1回、標準量あるいは高用量のいずれかを接種する

解説

  • 標準量インフルエンザワクチンについて、本邦の観察研究においてもインフルエンザの発症と重症化に対する有効性が示されている1, 2)
  • ランダム化比較試験において、高用量インフルエンザワクチンは標準量ワクチンよりインフルエンザの発症を有意に抑制し3)、さらに、肺炎またはインフルエンザによる入院を有意に抑制した4)。インフルエンザによる入院について、標準量に対する高用量の相対的有効性は31.9%(95%CI 20.0-42.0)であった4)

肺炎球菌

ワクチンの種類 対象 接種方法
沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン
PCV20(プレベナー20®)
65歳定期接種
(60歳以上65歳未満の一部も定期接種)
それ以外の年齢は任意接種
筋肉内注射
  • PPSV23接種歴のある者やPCV13,PCV15接種歴のある者も1年以上あけてPCV20の接種可5)
  • PCV20接種後、PPSV23を追加で接種する必要は乏しい

解説

  • 海外の大規模ランダム化比較試験6)で、肺炎球菌結合型ワクチンPCV13(プレベナー13®)について、ワクチン血清型の肺炎球菌性肺炎への有効性は45.6% (95%CI 21.8 - 62.5)であった。PCV20は、PCV13と同等の免疫原性が確認されていて、同様の有効性があると推定される。
  • 本邦の肺炎球菌性肺炎の血清型をPPSV23と同様によくカバーしている。
  • 直接比較した研究はわずかであるが7)、予防効果はPPSV23より長く持続すると推定される。
ワクチンの種類 対象 接種方法
21価肺炎球菌結合型ワクチン
PCV21
(キャップバックス®)
任意接種 筋肉内注射
  • PPSV23接種歴のある者やPCV13,PCV15, PCV20接種歴のある者も1年以上あけてPCV21の接種可5)
  • PCV21接種後、PPSV23を追加で接種する必要は乏しい

解説

  • PCV20と共通の血清型においては、免疫原性の非劣性が確認されている8)
  • 小児のPCVワクチン定期接種は成人で流行する肺炎球菌の血清型に影響する。本ワクチンは、小児で使用されるPCV20がカバーする血清型の約半数を含まず、成人に多い血清型を新規に含めることで、成人での血清型のカバー率を高めた。本邦での肺炎球菌性肺炎の研究で、各ワクチンのカバー率は、PPSV23 が 44.1%、PCV20 が43.7%、PCV21が71.9%であった9)
ワクチンの種類 対象 接種方法
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン
PPSV23
(ニューモバックス®)
任意接種 皮下注射
  • 5年以上の間隔で2回目接種可だが、1年以上あけて結合型ワクチンを追加接種する方が推奨される

解説

  • ワクチン血清型の侵襲性肺炎球菌感染症への有効性がみられる10)
  • 本邦の多施設前向き観察研究11)で、ワクチン血清型の肺炎球菌性肺炎への有効性は65歳以上で33.5% (95%CI 5.6 - 53.1)であった。
  • ワクチンの有効性は、接種後5年で減弱する。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)

ワクチンの種類 対象 接種方法
新型コロナウイルスmRNAワクチン
(コミナティ®、スパイクバックス®、ダイチロナ®、コスタイベ®)
65歳以上 秋冬1回 定期接種
(60歳以上で基礎疾患有する一部も定期接種)
他の期間の接種は任意接種
筋肉内注射
  • 定期接種は年1回
  • 前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後に接種可
  • 他のワクチンとの接種間隔に制限はない

解説

  • コミナティ®、スパイクバックス® の初回免疫では、90%以上の非常に高い有効性が示された12), 13)
  • しかし、海外の観察研究において、3回接種に対する4回目接種の接種後1か月までの感染予防の有効性は60%台で、3か月目には減弱した。同研究で、重症化予防への有効性は、2か月間70%以上で持続した14)
  • 本邦のVERSUS研究において年1回の追加接種の有効性が確認された13)。ただし、追加接種の効果の持続については不明な点も多い15, 16)
  • ダイチロナ®は、スパイク蛋白の受容体結合部位のみをコードしたmRNAを使用し、追加接種でコミナティ®と比較して中和抗体価上昇が非劣性であった。副反応も同程度であった。
  • コスタイベ®は自己増幅型mRNAワクチンである。
  • mRNAワクチン接種後の新規疾病の発症や既存疾患の悪化のケースレポート(因果関係は確定できない)は多くあるが、重篤な有害事象が高い率で発生したことを明確に示すコホート研究はない。
ワクチンの種類 対象 接種方法
組換えコロナウイルスワクチン
(ヌバキソビッド®)
65歳以上 秋冬1回 定期接種
(60歳以上で基礎疾患有する一部も定期接種)
他の時期の接種は任意接種
筋肉内注射
  • 追加免疫での定期接種は年1回
  • mRNAワクチン接種歴のある者の追加接種として接種可
  • 通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも6ヵ月経過した後に接種することができる。
  • 他のワクチンとの接種間隔に制限はない。

解説

  • 組換えタンパクワクチンの初回免疫について、mRNAワクチンと同様に90%以上のCOVID-19発症予防効果が確認された17)
  • 発熱などの全身性副反応はmRNAワクチンと比較して軽いことが示唆された18)

帯状疱疹

ワクチンの種類 対象 接種方法
組換え帯状疱疹ワクチン
(シングリックス®)
50歳以上(免疫が低下している場合には18歳以上)

65歳 定期接種
(65歳以上は2029年まで5歳刻みの年齢時)
他の年齢は任意接種
筋肉内注射
  • 2から6か月の間隔をあけて2回接種する
    (免疫が低下している場合には1か月の間隔でも接種可)
  • 生ワクチンの接種歴がある者でも接種可

解説

  • 国際的なランダム化比較試験(平均追跡期間 3.2年)で帯状疱疹の発症に97.2%(95%CI 93.7-99.0)の有効性が示された19)
  • 80歳以上の高齢者でも91.4%(95%CI 80.2-97.0)の有効性が確認された20)
  • 有効性は11年間持続する(10年で71.7%, 11年で82.0%の有効性がみられた21))。
  • 接種後1-2日の発熱や倦怠感などの全身性副反応が比較的多い。
ワクチンの種類 対象 接種方法
乾燥弱毒生水痘ワクチン 50歳以上

65歳 定期接種
(65歳以上は2029年まで5歳刻みの年齢時)
他の年齢は任意接種

明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者には接種してはならない
皮下注射
  • 1回接種

解説

  • 4年間のランダム化比較試験で帯状疱疹の発症に51.3% (95%CI 44.2-57.6) の有効性が示された22)
  • 有効性は7から8年後に大きく減弱すると推定される23)
  • 副反応は軽い。

RSウイルス

ワクチンの種類 対象 接種方法
組換えRSウイルスワクチン
(アレックスビー®、アブリスボ®)
60歳以上 任意接種
アレックスビー®は重症化リスクが高い場合に50歳以上
筋肉内注射
  • 1回接種

解説

  • 国際的なランダム下比較試験で、RSウイルスによる下気道感染の予防効果および重症化の予防効果が示されている24, 25)
  • アレックスビー®はアジュバントを含むワクチンで、アブリスボ®はアジュバントを含まないワクチンであるが、有効性等での両ワクチンの比較研究はない。
  • アレックスビー®は3シーズン目、アブリスボ®は2シーズン目の有効性が報告されている 26, 27)。さらなる長期の効果についてはまだ評価されていない。

参考文献

  • 1) Vaccine. 40: 5023-5029, 2022.
  • 2) Influenza Other Respir Viruses. 15: 293-314, 2021.
  • 3) N Engl J Med. 371: 635-645, 2014.
  • 4) Lancet. 406: 2425-2434, 2025.
  • 5) 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会
    65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 (第7版 2025年9月30日)
  • 6) N Engl J Med 372:1114-1125,2015
  • 7) Sci Rep. 11: 15948, 2021.
  • 8) Lancet Infect Dis. 24: 1141-1150, 2024.
  • 9) Hum Vaccin Immunother. 21: 2518847, 2025.
  • 10) Emerg Infect Dis. 26: 2378-86, 2020.
  • 11) Lancet Infect Dis. 17: 313-21, 2017.
  • 12) N Engl J Med. 383: 2603-15, 2020.
  • 13) N Engl J Med. 384: 403-416, 2021.
  • 14) BMJ. 377: e071113, 2022.
  • 15) https://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/versus/results.html
  • 16) Age and Ageing 52: 1–5, 2023.
  • 17) N Engl J Med. 385: 1172-1183, 2021.
  • 18) J Infect Dis. 230: e496-e502, 2024.
  • 19) N Engl J Med. 372: 2087-2096, 2015
  • 20) N Engl J Med. 375: 1019-1032, 2016
  • 21) eClinicalMedicine. 83: 103241, 2025
  • 22) N Engl J Med 352: 2271-2284, 2005
  • 23) Clin Infect Dis. 60: 900-909, 2015.
  • 24) N Engl J Med. 388: 595-608, 2023.
  • 25) N Engl J Med. 388: 1465-1477, 2023. 
  • 26) Lancet Respir Med. 13: 517-529, 2025.
  • 27) N Engl J Med 391:1459–60, 2024

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