DASC-8(認知・生活機能質問票)を用いた高齢者の血糖コントロール目標設定のためのカテゴリー分類のしかた
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標に関しては、2016年に高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会より、高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)が発表されています。
この血糖コントロール目標は患者の認知機能やADLなどによって3つのカテゴリーに分けて設定するものです。
このたび、日本老年医学会では、DASC-21(地域包括ケアシステムのための認知症アセスメントシート)の短縮版であるDASC-8(認知・生活機能質問票)を用いて、高齢者の血糖コントロール目標設定のためのカテゴリー分類ができることを明らかにしました。
判定法
DASC-8の合計点が10点以下でカテゴリーⅠ、11~16点でカテゴリーⅡ、17点以上でカテゴリーⅢの可能性が高いと判定します。
表 DASC-8の得点と高齢者の血糖コントロール目標設定のためのカテゴリー分類
DASC-8得点 | 10点以下 | 11-16点 | 17点以上 |
---|---|---|---|
カテゴリー | カテゴリー Ⅰ | カテゴリー Ⅱ | カテゴリー Ⅲ |
認知機能とADL | 認知機能正常 ADL 自立 |
MCI ~軽度認知症 手段的ADL 低下 |
中等度以上の認知症 基本的ADL低下 |
妥当性、感度、特異度
DASC-8はDASC-21との相関は高く(r=0.979, P<0.0001)、内的整合性も保たれています(Cronbach’s α=0.90)。また、MMSE、Lawton尺度、Barthel指標を基準の尺度としてカテゴリー分類をした場合と比較するとDASC-8は以下の感度と特異度でカテゴリー分類ができます。(Toyoshima K, et al. Geriatr Gerontol Int 2018;18:1458-1462)
カットオフ | 感度 | 特異度 | |
---|---|---|---|
カテゴリーⅠとⅡ以上 | 10/11 | 86.3% | 81.6% |
カテゴリーⅡ以下とⅢ | 16/17 | 85.2% | 82.8% |
注意点
- DASC-8は, 原則的に, メディカルスタッフ、介護職、または医師が対象の方をよく知る家族や介護者に,対象者の日常生活の様子を聞きながら,認知機能障害や生活機能障害に関連する行動の変化を評価します。家族や介護者に質問することができない場合には,対象者本人に日常生活の様子を質問しながら,追加の質問をしたり,様子を観察したりして,調査担当者自身の判断で対象者の状態を評価します。
- 必ず、DASC-8の使用のためのマニュアルを読んでから、使用して下さい。
- DASC-8による認知機能やADLの評価はあくまでスクリーニングですので、認知機能、手段的ADL、基本的ADLなどの詳細な評価については個別に行うことを推奨いたします。
版権
DASC-8の質問票と使用マニュアルは下記の場所からダウンロードすることが可能です。
版権に関しては日本老年医学会が所有いたします。
一般臨床や研究において使用する場合は、許可は不要です。
商業目的で引用される場合は、日本老年医学会の規定に従って、手続きと許可を得るようにお願いいたします。